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東京オフィス市場動向 – 2010年6月

  1. 最近の経済動向

    • 7月1日発表の日銀短観によると大企業・製造業の6月の業況判断指数は、前回より15ポイント改善してプラス1となった。プラスとは、景気が良いと回答した会社が良くないと回答した会社を上回ったことを示す。大企業は、2010年度にこの3年間で初めて対前年度比で4.4%増の設備投資をすると回答している。
    • 2010年第1四半期は、GDPにおいて前四半期比で年率換算5%の成長を示した。これで日本経済は、4四半期連続で実質成長を示しその回復裏付けた。
      2009年第2四半期以降の成長は、輸出と政府の景気刺激策によって支えられてきたが今後は、景気刺激策の効果も薄れてゆく為、内需のより一層の拡大が期待される。
    • この顕著な成長の主な要因としてアジア圏経済の成長が挙げられる。現在の日本からアジア圏への輸出は、日本の輸出総額の55%を占める (ジェトロ月次統計、2010年4月)。実際、2009年に対アジア圏への輸出は、17.9%減少したとは云え、輸出全体の落ち込みが25.2%であったのに比べれば、減少幅は、小さい。また2010年 第1四半期には、輸出全体の伸びが42.1%であったのに対し対アジア圏は、60.7%の伸びを示している。 
    • 最近の世界規模での経済危機の中でアジア圏は、過去に比べて自己補正能力が向上していることを示した。
    • 5月の失業率は、5.2%と4月の5.14%から僅かながら上昇した。これらの数字は、依然として企業側が新たな採用に消極的であることを示しているものの、総務省は、所謂リストラを目的とした雇用調整は、過去2ヶ月間鎮静化の方向にあると見ている。
    • 6月22日に政府は、長期財政政策を含む中期計画を発表。新任の首相は、2011年度の国債発行額を2010年度以下にとどめ、日本の財政状況改善の為、2015年度までに財政赤字を50%削減することを目指している。
    • 日本国の債務は、GDPの2倍規模にまで膨らんだと云うことを考えるとき、我々は、以下の点も考慮した上で判断しなければ誤った結論に至る
      • 他の債務過多傾向にある国は、自国外の投資家の資金に著しく依存しているのに比べ日本の場合その殆どが自国内の投資家の資金で賄えている。日本の一般家計の貯蓄は、日本のGDPのほぼ3倍にあたる15兆米ドル相当の資金蓄積があり、この大半が銀行の預金で運用されている。結果として邦銀の預金は、その貸出し総額の150%に及ぶ。更に家計貯蓄の27%は、保険会社において運用されている。これらの金融機関に集まった資金は、結果としてその大部分が国債で運用されている。
      • 国家の債務の約50%に相当する額の公的機関の債権を国が他方で保有しているので、差し引き国の実質的な債務は、公表数字の約半分しかないとも云える。
      • 1990代後半以来JGBの利率は、2%を大きく下回っており(2010年6月現在は、1.09%)GDPに占める債務のコストは、GDPの100%未満の債務しか抱えないドイツと比較しても日本の方が小さい
  2. 賃料の動向

    • 都内主要5区における貸手が提示する賃料は、依然として下方圧力を受けている。同5区の平均賃料は、最近のピ-クであった2008年水準を18%下回り、過去10年間で最低だった2004年水準にも近づいている。
    • 事業縮小や撤退等のテナント側の一方的理由による退去は、鎮静化し、現在の魅力的な賃料水準は、新たなテナントを引きつけ始めている。その結果として大企業によるより大きなスペ-スへの移転も見られるようになった。
    • 一方で高止まりしている市場の空室率の影響で新規の賃料水準の低下傾向にまだ歯止めはかかっていない。
  3. 空室率の動き

    • 世界的な金融危機が沈静化したことにより、需給間のギャップが縮小方向に向かい結果として緩やかな上昇傾向を示していた都内主要5区の空室率の上昇は、鈍化した。
    • 市場には、底打ち感を示す指標が幾つか見られ出した。CBREによる2010年第1四半期の市場分析によれば都内主要5区のクラスAオフィスビルの空室率は、既に2009年末に反転しているとされる。
    • これらの現象の背景には、幾つかの大企業が都内主要5区外から移転或いは、同区内でのオフィスの統合により優良なクラスAオフィスビルに移転したことがあげられる。現在の市場における魅力的な賃料水準に加え、以前に比べて経済や経営の先の見通しが幾らか明るくなってきたことから企業が中長期の視野に立って決断することができる環境になってきたと云える。
    • 2010年度の新たなオフィススペ-スの供給量は、2009年度同様にそれほど顕著な規模ではない。従い空室率は、引き続き今後の経済や経営の回復動向に大きく左右され続けると見る。
  4. 最近の大規模オフィスビルの取引事例

    • 大手、中堅のJ-REITは、金融環境の改善の結果市場に戻ってきている。2009年第4四半期にJ-REITは、漸く金融危機以降初めて1,500億円を超える物件購入をしたのに引き続き2010年第1四半期にもJ-REITは、1,500億円規模で物件の購入をした。
    • J-REITは、徐々に大規模オフィス市場における絶対的な地位を確立し出している。彼らは、好立地の物件をその所有形態にかかわらず、積極的な価格で買い取っている。
    • ラサ-ル・インベスメントのように積極的投資を再開した海外投資家もいる。優良投資物件を物色する海外投資家は、更に多い。
    • 生保のような国内機関投資家や、電鉄系、不動産会社等も引き続き大規模オフィスビル向け投資家層の主力である。
    • 破綻した私募ファンドから流出した物件も散見されるが邦銀勢の融資回収姿勢に切迫感が無い為にその数は、限定的と見られている。

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