Kenzo Capital Coporation

日本・東京不動産市場の安定性に着目中長期投資運用を展開する

建造キャピタルは、欧州投資家の資金を主たる背景に日本の不動産へ投資助言を行う会社である。設立は2008年と新しいが、同社代表取締役社長であるレオナード・マイヤー氏は1993年の来日以来、長きにわたり日本の不動産投資市場をデットサイドから支えてきた人物である。2004年にハイポ・リアル・エステート・キャピタル・ジャパンを設立し社長兼CEOに就任、日本有数の不動産向けレンダーに育てたのち08年に退職、同年、建造キャピタルを立ち上げている。「これままではデット側で仕事をしてきましたが、不動産証券化市場の黎明期から日本の不動産ビジネスをずっと見てきた経験を活かし、今度は逆にエクイティの立場からアドバイザリー業務を提供していきます」 (マイヤー氏)同社では、日本に特化した中長期安定型の運用戦略を特徴としており、短期回収型のオポチュニスティックな投資スタイルとは一線を画している。

建造キャピタルによれば、欧州では多くの長期投資家は安全なマーケットと安定的なキャッシュフローを求め投資機会を模索している状況にあり、法制度や税制上のインフラが整備され、マーケットのボラティリティが低い日本の不動産はまさにニーズとマッチしているというのが同社の考えである。加えて、現時点では欧州投資家のポートフォリオにおける日本の不動産が占める割合はきわめて低いため、今後成長する余地は大きいとみている。また、不動産マーケットが安定成長を続けていくために内外の中・長期投資家資金の存在が期待される日本において、建造キャピタルは日欧の橋渡しとしての役割を担いたいとする。

都内オフィスと住宅が投資対象テナント市場での流動性を重視

建造キャピタルの投資対象は、東京都内のオフィスビルおよび住宅としている。地方都市の案件はいまのところ対象としていない。

具体的な投資対象となるオフィスビルの規模は50 億円以上。たとえばテナントマーケットがグローバル経済の影響を受けやすい丸の内エリアあるSクラスの物件よりも、東京圏にあるAクラスおよびBクラスビルで、坪当たり平均賃料が2万~2万5,000円の地域に位置する2,000~6,000坪規模の物件が、比較的多様なテナント層が見込めるため、安定した稼働率が確保できると好感している。また、同社の顧客であるドイツのクローズドエンドファンドが長期契約物件を中心に運用していることから、日本でも長期テナント契約が可能な物件に注目しているという。一方、住宅については、100~250戸の東京圏にある比較的質の高い物件で、1棟あたり投資規模にして35 億円以上を目安としている。

投資におけるデット資金の調達についてはLTV水準50%を想定。オポチュニスティックな投資案件への融資は別として、同社が扱う長期コアアセットへの投資には問題なくファイナンスがつく状況になってきているという。

資産取得先としては、既存ファンドや事業会社からの個別の案件持ち込みや銀行の保有不動産、マチュリティが到来したCMBSの担保物件等を想定している(ただしCMBSの裏付けとなる物件は、地方都市にある物件や開発案件であるケースもあるため、同社の投資基準を満たしていない可能性があり、吟味が必要となるようだ)。オーナーや銀行と価格交渉を進める中で、最近では買い手と売り手の希望価格の乖離が縮小しつつあり、特に同社が対象とするアセットクラスでは、以前よりも価格の折り合いがつきやすくなっているとのことである。

日欧投資家が参画する不動産ファンド組成を計画

同社は本年8月、投資運用体制を強化するべく、福岡に本拠を置く「玄海キャピタルマネジメント」と提携契約を締結している。玄海キャピタルが投資案件のパイプライン提供から期中運用管理までのAM業務を、建造キャピタルがストラクチャリングやデットファイナンス調達、投資家へのアドバイザリーおよびレポーティング業務を行う。玄海キャピタルは、2006年から07年にかけては市場が過熱していた東京を回避し九州地域で不動産に投資、実績を積み上げてきたが、リーマンショック以降、東京の不動産の流動性が落ちたのをチャンスとみて08年よりリサーチを開始。すでに東京オフィスに8人のスタッフをそろえ業務をスタートさせている。国内物件ソーシング力を持つ玄海キャピタルと、海外顧客とのコミュニケーション能力が高い建造キャピタルが相互に補完し合い、将来的には双方のネットワークを融合させることで、日欧の長期投資家が共同で参画する不動産投資ファンドを組成する考えである。

今後の展望については、まず短期的には投資家にとって真に有用なアドバイザリー業務を遂行していく。中期的には海外の投資家と日本国内の投資家を結集し、ファンドを組成するなど共同事業を提案する。そして長期的には、環境に優しい不動産に投資していくことが同社のめざすところだ。建造キャピタルでは、日本の不動産投資はいまが好機とみて積極的に物件取得を進める意向である。来年は資産運用規模1,000 億円を目標としており、これを今後5年間で約3,000億円に拡大していきたいという。

長期運用をする欧州投資家と安定的な日本の不動産市場を橋渡し役を担いたい

代表取締役社長

レオナード・マイヤー・ツー・ブリックヴェーデ 氏

2000年に日本の不動産証券化ビジネスがはじまって以降、私は主にファイナンスの側から市場をみてきました。当時日本の不動産市場は不透明で流動性がなく、短期マネーを背景に動くプレーヤーが多かった一方、長期投資家は日本に投資するのをためらっている状況だったと思います。それが、J-REITのスタートを経て市場整備が進むなか、透明性や安全性はいま格段に高まってきました。今後、日本の不動産マーケットがより成長していくためには、中・長期運用のコアなインベスターの参入が不可欠であると考えます。

当社では、長期運用をする欧州の投資家を日本の不動産市場に引き合わせ日本不動産マーケットの成長に貢献したいと考えています。両者のコミュニケーションを円滑にすること、そのための橋渡しができることは、われわれならではの強みです。日本の機関投資家が海外の投資家と共同でひとつのファンドを運用するということがうまくいけば、さらに日本国内の一般投資家も投資しやすい環境になってくるはずです。将来的には個人投資家のみなさんにも不動産を投資オプションのひとつの選択肢として認識していただけるようになればと願っています。

日本の不動産投資市場はまだ若い。日欧の投資家同士で対話を深めていけば、おたがいに得るものは大きいと考えています。

月刊 プロパティマネジメント 2009年 12月号

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